2022年11月3日木曜日

ランダウ・リフシッツの「場の古典論」相対論的ラグランジュアン

4元ベクトル
場の4元ポテンシャル

《相対論的ラグランジャン》
 ランダウ・リフシッツの「力学」から、最小作用の原理とラグランジュアンを学びました。その基礎の上に、「場の古典論」から相対性原理でのラグランジュアンの導出を学びます。

【場の古典論】
【第2章】相対論的力学
《第8節》最小作用の原理
 物質粒子の運動を研究するにあたって、われわれは最小作用の原理から出発することにしよう。最小作用の原理は、よく知られているように、つぎのように述べられる:すべての力学系に対して、ラグランジュアンLを積分した作用Sが存在し、Sは現実の運動に対して極小値をとる。すなわち、その変分δSがゼロになる。
 自由な物質粒子(いかなる外力の影響をも受けていない粒子)に対するラグランジュアンLとdt の作用積分Sを求めよう。そのために、先ず考慮すべきことは、この作用積分Sは慣性基準系の選び方によらない、すなわち、ローレンツ変換に対して不変でなければならないことに注意する。そうすると、それは、ローレンツ変換に対して不変なあるスカラーに依存するはずである。さらに、作用積分されるラグランジュアンLとdt の積は、1階の微分でなければならないことは明らかである。ところで、自由粒子に対してつくることのできるこの種の唯一のスカラーは、世界間隔dsに定数αを掛けたものである。したがって、自由粒子に対する作用Sは

という形でなければならない。この作用積分は、粒子がそれぞれ決まった時刻t1の始点の事象から、決まった時刻t2の終点の事象に達するという、2つの事象の間の、すなわち粒子の2つの与えられた世界点の間の、粒子の世界線(時間毎に粒子の存在する空間座標をあらわす曲線)にそってとった積分である。αはすべての粒子に対して正の量でなければならない。そうすれば上の式の作用積分Sは、-1が掛け算されているので、粒子のまっすぐな世界線にそって最小値を持つ。曲がった世界線に沿って積分すれば、この作用積分は(負の値を持つが)いくらでも大きく0に近づくことができる。そのため、上記の式の符号を正の値に変えることはできない。
物質粒子の速度をvとすれば、世界間隔dsの積は粒子の固有時間dt’の積分になり、以下の式であらわせる。

したがって、dtに掛かる係数である粒子のラグランジュアンLは、

である。
このラグランジュアンLを近似的に古典力学のラグランジュアンと対応させることで係数αがmcに決定できる。そして、以下の式のラグランジュアンLが定められる。


【リンク】
pdf:相対論を考慮に入れたラグランジアンL
「高校物理の目次」


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