2013年2月10日日曜日

電流計と電圧計による抵抗測定精度

「高校物理の発想の基本」
電流計と電圧計を用いて抵抗を測定する場合に測定誤差が出ます。それを、以下で説明します。
 まず、電流計の原理的なモデルは以下のようなものです。

 電圧計の原理的なモデルは、以下のようなものです。
 電流計は内部抵抗が低く、
電圧計は内部抵抗が高いです。
 電流計と電圧計の等価回路は、以下のように書きます。

 電流計は内部抵抗を低くして、測定相手の電流をあまり変化させないようにして測定します。
 電圧計は内部抵抗を高くして、測定相手の電圧をあまり変化させないようにして測定します。
【電流計と電圧計による抵抗測定】
 抵抗測定の基本原理は、以下のように抵抗に電流を流して、抵抗に発生した電圧を電流で割り算して抵抗rを求めます。

 実際に、以下の図のように電流計と電圧計をつないで、抵抗rの電圧と電流を測ろうとしたとします。
 この回路で測定した電流I’と電圧V’は、以下の図の関係にあります。 
 上図のように、測定電圧V’を測定電流I’で割り算すると抵抗rよりも、電流計の内部抵抗分大きめな抵抗値が計測されます。

 次に、以下の図のように電流計と電圧計をつないで、抵抗rの電圧と電流を測ろうとしたとします。

 この回路で測定した電流I’と電圧V’は、以下の図の関係にあります。
 回路の計算をするとき、並列な回路部分がある場合は、その並列な回路の一方の電流を使って、全ての部分の電流を記述するように計算するとうまく計算できます。

 測定電圧V’を測定電流I’で割り算する計算は以下のように行います。
【別解】
 並列な回路部分がある回路の計算では、下図のように、その並列な回路の電圧を使って、全ての部分の電流を記述するように計算するとうまく計算できます。

 以上、計算したように、(測定電圧V’)/(測定電流I’)<(抵抗r)、すなわち、測定結果の抵抗は、実際の抵抗rよりも小さめな値になり、その誤差は、電圧計の内部抵抗が十分大きくないと、誤差が大きくなります。

【電流計と電圧計の測定限界を広げる技術】
 電圧計の測定限界を広げるためには、以下のように抵抗を電圧計に直列に接続します。

 そうすると、以下の関係で、測定限界が広がります。

 電流計の測定限界を広げるためには、以下のように抵抗を電流計に並列に接続します。

 そうすると、以下の関係で、並列につなぐ抵抗を小さくすれば測定限界が広がります。
 回路の計算をするとき、並列な回路部分がある場合は、その並列な回路の一方の電流を使って、全ての部分の電流を記述するように計算するとうまく計算できます。



【リンク】
「高校物理の目次」

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